ホップパッキンの考察 その①
電動ガン、はたまたガスガン、エアコッキングガンなどのエアガンには必ずといってよいほどホップパッキンによるホップシステムが付いていると思います。
ここで少しホップパッキンとはBB弾にどんな影響を与えているかを少し考察してみようと思います。
僕の作るホップパッキンは僕自身がオーディオメーカーでスピーカー設計をしていたころにゴムの研究もしましたのでその経験が生きています。
”なせスピーカーにゴムの知識が?”
、、と思われている方もいらっしゃいますがスピーカーのダンパーとエッジにはゴムが使われいるものが多いです。このゴムの素材の質、マテリアル、形状などがスピーカーの音に強く影響しますので徹底的に調べていますし市販スピーカーに僕の設計したマテリアル、設計が採用されているのでテストは上々かと思われます(不具合はほぼなしでした)。
さて本題ですが今日はホップをかけるということはBB弾にとって力学的にどんな力が掛かるかほんのちょっと説明してみようかと思います。
今日はこの画像で説明します。
画像はマルイ様ノーマルチャンバーシステムのホップダイヤルを”強”のほうに目いっぱいかけたときのチャンバー内断面図です。
ここで解説したいのは矢印AとBの摩擦係数について説明します。
ホップシステムはこのAとBの摩擦係数の数値を変えてBB弾に縦回転を与えて飛距離を伸ばします。
今回注目したいところは皆さんが興味津々の長掛けホップとマルイ様純正パッキンの点掛けについて矢印AとBでどういった力学が働いてるかを考察したいと思います。
簡単にセミでゆっくりとBB弾を撃った場合は、、、
長掛けホップ、、、、、、AではBB弾上面大目に摩擦が発生します。Bでは下面多めに摩擦が発生します。
マルイ様点ホップ、、、、AではBB弾上面に長掛けホップよりもかなり少なめの摩擦が発生します。Bでは長掛けホップよりもかなり少なめの摩擦が発生します。
、、、となります。上記の説明では良くある長掛けホップパッキン社外メーカーさんの売り文句と一緒の説明ですね!。でもホップを強く掛けることは点ホップでもできますよね?、、、。
じゃあ何が点ホップと長掛けでは何が違うの?、、、となりますが大きな点が(ほんとは沢山在りますが、、)ひとつあります。
それは、、
”点ホップは矢印Aの面圧(ホップを強くする)強くしないとホップ回転を強めに掛けれない。長掛けホップは面圧を強くしなくてもホップ回転を強めることができる”
、、、が違います。
これはメカボのレシピが同一内での場合になります。
長かけは読んで字の通りで矢印Aで上面大目に(面ホップなんで)ホップを掛け続けることができるので弱いホップ面圧でもAとBの摩擦係数の数値の差の恩恵を長めに受けることができるからです。
同様にホップをMAXに掛けると点ホップよりもより強いホップ回転を掛けることができます。
、、じゃあ、点ホップよりも長掛けのほうが良いじゃん!、、なんでマルイさんは点ホップのままなの?”
、、、、という疑問が出てきます。
点ホップでもマルイ様の銃は(しっかりと組み直せば、、)ものすごい命中精度と飛距離を発揮しますよね?、、。これはマルイ様の銃はレシピが低コンプレッション、低重量BB弾(多分0.25gまで)用のセッティングで設計されているからだと思います。
簡単に端的に説明すると、、、
”レートの低いスプリングでメカボに低負荷、チャンバー内エアーコンプレッションは最弱、インナーバレル開口部ギリギリで最高初速”
、、、、だからです。これを生かすには点ホップが最良だとの結論だと思います。
上記の設計で組まれた銃は量産品の流れ作業で作られる組み立てクオリティーでは最良の設計のパーツ郡であり壊れても直しやすく、且つパーツ代金もかかりません。また性能も海外製の銃よりも壊れずらく良く当たります。
少し補足をすると、、、
チャンバー内エアーコンプレッションが低いということは?、、、、、皆さんは上記の画像の通りでそのままどのパーツも一切動かずにそのままBB弾が発射されるとお思いですが実はそれは違います。目に見えないBB弾を動かす力の"空気”の存在があります。エアーコンプレッションが上記画像に発生するとアコースティックサスペンション(オーディオ用語)が発生します。チャンバー内でエアーによる圧力が掛かると空気はそのチャンバー内で一番弱いところに逃げようとします。チャンバー内で一番弱いパーツ(柔らかい)はどれでしょう?
、、そうパッキンですね!、、
ではパッキンのどこの部分に空気が逃げるでしょうか?
、、それはパッキンのノズルと接する部分とインナーバレルホップ窓から空気が逃げようとします。空気が逃げようとするとチャンバー内何が起きるのかといいますと画像の矢印Aの部分のホップパッキンのゴムがインナーバレルホップ窓の形状の形に添って変形します(専門用語で言うと横断性比率が変わります)。つまりエアーコンプレッションが高いほど矢印Aが暴れやすくリニアなBB弾縦回転が保てなくなりBB弾前面のcd値が暴れインナーバレル内のBB弾よりも先に抜けていく空気の前面の空気の粘性が暴れ”剥離”起き易くなります。
剥離が起きるとインナーバレル発射口の空気の粘性が不安定になります。これはBB弾がインナーバレル内部加速中のBB弾銃口前面のインナーバレル内空気の総量が多い場合ほど(インナーバレルが長いほどまたはルーズバレルほど)銃口の空気の粘性が不安定になります。
”ロングのインナーバレルの方が空気の総量多いからその考えだと命中精度悪くなるでしょ?”
とおっしゃる人もいると思います。これは端的にいうとマルイ様の設計が良いからです。
89式、M14、スカー、次世代AK、ステアーHCはしっかりと組みなおすとセミでもフルオートでもものすごい命中精度で糸のようにBB弾が飛んでいきます。
HCシリーズは飛距離を犠牲にしてハイサイに振った素晴らしい設計です。
他のシリーズはシリンダー容積、インナーバレルのエアー体積、ピストン重量、、etcなどが素晴らしい設計と調整だからです。
具体的に考察しますと、、、、
エアーコンプレッションが低くインナー銃口付近で初速がMAXになる設計ですと上でご説明した銃口付近のBB弾の隙間を抜けて行く空気が非常に少なくてすみ、ホーンロードのかかる(僕はバックロードホーンスピーカーの設計者です)ハイダー付近の空気のが暴れないからです。これは流速銃のようにチャンバーから加速したBB弾はすぐにインナーバレル内で最高初速になるカスタムだとインナーバレル内BB弾前面の空気は空気の特性からより固体として働きます。固体として働くとBB弾加速中前面の空気の重さ分の力がBB弾前面ベクトルの逆の方向の力になりBB弾とインナーバレルの隙間から流れようとします。こうなるとBB弾はインナーバレル内センターにとどまることができなくなりインナーバレル内内壁に当たります。当たるとBB弾の命中精度が悪くなります。これを嫌ってラージサイズインナーバレルにしたり極端に短いインナーバレルにしたりして命中精度を高めます。
でもどっちにしろ加速中のBB弾後面の不圧はマガジンのBB弾挿入口があるので不圧は一定にはなりっこないのでマルイ様設計のようには行かずに剥離とカルマン渦ができやすいはずです。
”ではマルイ設計が一番良いの?”
、、、これは僕の勝手な意見と考察なのですがマルイ様設計は40mまでターゲットを狙う、ハイサイは秒間28発くらいまで、BB弾重量は0.25gまで、、、という条件付ならば非常に良い文句の付けようのない(しっかりと技術ある人が組みなおした場合)銃だと思います。
ですが、BB弾重量は0.28gまでハイサイは30~70発まで飛距離は70mまで(仰角撃ちで相手に当たった感が伝わる)、、条件になると大分違ってきます。
マルイ様銃はあくまで量産品で平均の性能を狙ったものです。パーツも大量生産で妥協もあります。
カスタムの依頼でお客様にカスタムの要望を聞いてマルイ様銃と同じような内容のカスタムがご希望ならば僕はマルイ様の銃を買ってくださいとはっきりといいます(好きな銃がマルイ様のラインナップにない場合は別です)。
パーツの品質を究極に上げたり(ホスピタルグレードホップパッキン)モーターを手巻きにしたり、、、etcとしっかりと手間隙掛けてカスタムすると良いカスタムができると個人的には思っています。
肝は高コンプレッションでもパッキンのヤング率、剛性率、ポワゾン比をひとつ桁の違う高品質のものを使い、それにあったカスタムレシピにする。アコースティックサスペンションとノズル長、インナーバレル長、シリンダー容積を計算してエアブレーキピストンを製作したり、、、etcと色々とすると良いと個人的にはおもっています。
パッキンとバレルだけで長々と考察して解説してしまいましたがマルイ様銃をリバースエンジニアリングすると非常にためになりますね~!(でもあちらさんもw、、、、)
それではまた!